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不動産の相続税はいくら?計算方法や相続の際の注意点など

一般的に相続というと、現金や株式などの金融資産の相続を思い浮かべることが多いですが、土地や建物などの不動産がある場合にはこれも相続財産に含まれます。

不動産を相続する場合、現金や株式などの相続に比べて、相続税の計算方法や注意するべき点が異なります。

ここでは、不動産の相続によって発生する相続税の計算方法、相続の際の注意点についてみていきましょう。

不動産の相続税計算の流れ

不動産が相続財産に含まれる場合の手続きの流れは以下の通りです。

①相続する人間の決定

②相続する財産の決定

③相続する不動産の評価額の計算

④相続税の計算

⑤相続税の納付

⑥登記

 

上述のステップの中で、相続税の計算に関連する③と④について詳しくみていきましょう。

相続する不動産の評価額の計算について

まず、③の相続する不動産の評価額の算定について、ここでは代表的な不動産である、戸建ての土地と建物の評価方法についてみていきます。

 

〇土地の評価方法

土地の評価方法は、路線価方式と倍率方式の2つが存在します。

路線価方式は、路線価が定められている市街地での評価方式で、路線価をその土地の形状等に応じた奥行価格補正率などの各種補正率で補正した後に、その土地の面積を乗じて算定します。

一方の倍率方式は、路線価が定められていない農村地域での評価方法で、土地の固定資産評価額に一定の倍率を乗じて算定します。

 

〇建物の評価方法

建物の評価方法は、固定資産評価額に1.0を乗じて計算する方法となり、相続税評価額と固定資産評価額は同じになります。

固定資産評価額は、毎年市区町村から送られてくる固定資産税課税明細書で確認可能です。

 

なおマンションについては、全体の土地と建物部分の相続税額を計算してから、持分割合で按分させる方法により算出します。

また、不動産には小規模住宅地等の特例をはじめとした、節税効果が期待できる制度が存在するので、上手く活用するとよいでしょう。

 

不動産の評価額を算定した後に、不動産以外の財産の評価額と合計し、控除額を超えていれば相続税が発生することとなります。

相続税の計算について

次に④の相続税の算定についてです。

相続が発生すると聞くと全てのケースにおいて相続税が発生すると思われがちですが、実際には相続税が発生しないケースの方が多いです。

相続税は、(相続財産の評価額-適用可能な控除金額)×税率で計算されますので、適用可能な控除金額が相続財産の評価額を上回っている場合は、相続税は発生しないのです。

適用可能な控除制度には、例えば次のような制度があります。

 

〇基礎控除

基礎控除は以下の計算式で算出可能です。

【3,000万円 + 法定相続人の数×600万円】

例えば親子4人家族で父親が5,000万円の財産を残して亡くなった場合、基礎控除額は「3,000万円 + 3人×600万円 = 4,800万円」になり、控除額を超えている200万円に対して課税されます。

 

〇未成年者の税額控除

相続する人が未成年である場合、一定額が控除される制度で、こちらも計算式が定められています。

【(18歳-相続時の年齢)×10万円】

例えば相続時に10歳だった場合、控除額は「(18歳-10歳)×10万円=80万円」となります。

 

〇配偶者の税額軽減

配偶者の相続財産が1億6,000万円まで、もしくは法定相続分の範囲内までは相続税が非課税になる制度です。

例えば妻が1.4億円を相続するケースでは、妻には配偶者控除が適用されますので、1.4億円は非課税です。

配偶者控除は非常に大きな額の軽減とはなるものの、二次相続時のことまで考えて検討する必要がある点で注意が必要となります。

 

〇障害者の税額控除

相続人が85歳未満の障害者である場合、一定額が控除される制度です。

障害者への負担を減らすことを目的とした制度で、以下の計算式で算出されます。

 

・一般障害者の場合

【(85歳-相続開始時の年齢)×10万円 】

 

・特別障害者の場合

【(85歳-相続開始時の年齢)×20万円 】

 

このように、様々な控除制度が存在します。

相続する不動産の評価額から適用可能な控除金額を控除し、相続税額の算出を行っていきます。

不動産を相続する際の注意点

最後に、不動産を相続する際の注意点について確認しておきましょう。

 

〇どのように遺産分割するかを相続人全員で話す必要がある

相続人全員で相続について協議することを、遺産分割協議といいます。

全員が一か所に集まって対面で行う必要はありませんが、全員での意思統一が必要になります。

 

〇可能な限り不動産の共有は避ける

遺産分割協議で誰が相続するか確定するまでの間は、不動産は相続人全員が共有している状態になります。

しかし共有の状態のままであると、不動産を処分する際などに再び全員の意思統一が必要になったり、共有している人間が亡くなった場合、再び相続が発生し関連する人間の数が増えてしまうなど権利関係が複雑になるため、可能な限り不動産の共有状態を避けた方がよいといえます。

 

このように、不動産を相続する際は注意する点がありますので、不動産を相続する人が相続しなかった人に金銭を払って清算する代償分割や、不動産を売却して現金化して相続する換価分割といった方法を検討してもよいでしょう。

不動産の相続は小原善之税理士事務所にお問い合わせください

不動産の相続は、現金や株式などと比較してその評価額の算定方法が難しく、相続においても注意が必要です。

そのため、相続財産の中に不動産が含まれている場合は、専門家である税理士に相談することをお勧めします。

当事務所では、不動産の相続に関するご相談も承っております。

不動産の相続でお悩みの皆様は、小原善之税理士事務所にお気軽にご相談ください。

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